ケーキャンプ

徹底予想!
『INDIKA2』はこうなる!!

2024.06.16

【注意!】作品のネタバレが含まれています



1. 他のあらゆるゲームと同様に、画面左上の信仰ポイントが所持金を示す数字になっている
2. イリヤの切られた腕が、「ウデちゃん」としてパーティ加入。やたら動く
3. インディカとイリヤが犯罪で路銀を得ながらロシア中の神器をぶっ壊す
4. インディカとイリヤが銀行強盗をする
5. インディカが無礼なことを言ってきた男と拳銃で決闘する
6. インディカがシスター服姿を利用して詐欺をはたらく
7. インディカがイカサマポーカーで爆勝ち。胴元がキレて修羅場になる
8. インディカとイリヤが一緒に死体を埋める
9. インディカとイリヤが墓を暴きまくる
10. しんみりとした雰囲気の中、イリヤの過去が明かされるかに思えたその瞬間、音ゲーが始まる
11. インディカとイリヤは宇宙に進出。宇宙放射線でモンスター化したライカ犬と死闘を繰り広げる
12. インディカとイリヤがマジ口論になり、急に始まった落ちものパズルでバトルする。面をひとつクリアするたびに、インディカがやたらクリティカルな悪口を言う
13. イリヤに因縁をつけてボコボコにした男に、インディカが眉ひとつ動かさず鉛玉をぶち込む
14. 超でかいザリガニとバトル
15. 超でかい蜘蛛の巣に絡まる
16. 超でかいアムールトラにちゅるっと飲み込まれ、胃の中で暮らす。家具とか置ける
17. ベンチでパンを食べてると超でかい鳩が近付いてくる
18. 遠くに見える丘かと思ったら超でかいフワッフワのウサギ
19. 急に1970年代ブラウン管テレビ風の画面エフェクトがかかり、インディカとイリヤのパペットが登場する
20. 急に動物ドキュメンタリー番組が始まる。カメラをコントロールし、野生動物を上手くフレームに入れると報酬ゲット! 遠景にインディカとイリヤがいるが、無視して動物を撮りまくれ
21. 都会でアジビラを貰うが、渡してきた人物の人相がどう見てもレーニン
22. インディカが凄まじい罵倒語を発したその瞬間、画面にグリッチが入り、暗転

 いや〜楽しみですね。
 『INDIKA』のキャッチコピーは「求めよ、さらば欺かれん(=ASK AND YOU SHALL BE DECEIVED)」でしたが、私が『INDIKA』クリア直後、「続編作ってくれよぉ!!!!!!!」と身悶えながら『INDIKA2』のキャッチコピーになりうるものを想像した時真っ先に思い浮かべたのは、「神がいないのなら、すべてが可能になる」でした。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』内の言葉です。
 『INDIKA』の終盤において、神器を質に入れて換金したイリヤに対しインディカが発した「そのお金、渡して!!」という言葉は、まさしく近代において起きた、神からカネへの信仰の大転換を象徴していると思います。信仰の解体による、人間の行動基準や倫理的拠り所の迷走・模索はキリスト教圏と、それら“列強”と肩を並べたいと願う日本を含む様々な国で起こりましたが、正教が強大な影響力を持ち、民衆の生活に深く根を下ろしていたロシアにとっては殊の外強烈だったでしょう。農奴制が解体されて新しい国家の形を模索する時代にドストエフスキーが作中人物に発させたこの言葉は、未だに私たちに、神無き時代を生きる私たちに多くの問いを投げかけます。神がおわさず、天国も地獄も最後の審判も無いのなら、私たちは一体何をたのんで自らを律すればいいのか。ただ国家が作り上げた法に従うだけで善い人間になれるのか。私たちの倫理観はどれほど時の権力や社会的風潮に左右されているのか。私たちが今、倫理的だと見做していることは実はひどく非倫理的なのではないか。そして、そもそも善い人間であることに何の意味があるのか。

 インディカの精神内で起きた幻滅、冷酷なまでの精神の変転は、ロシアという国の、西欧よりはいささか遅れて訪れた近代化と相似しています。極端から極端に、というのは「ロシア的性質」のステレオタイプとして文学などに登場しますが、修道女であったインディカが信仰を失って犯罪の道をひた走り始める、というのはありそうな気がしています。
 盗みや詐欺を臆面も無くやってのけ、その分野で才能を開花させつつあるようにすら見えるインディカに、裏切りによって幻滅をもたらした引け目があるイリヤが生きた心地もしないまま付き添う、なんて筋書き、良いですね。支離滅裂な犯罪劇を繰り広げるふたりが見たいです。そんでセックスするタイミングを完全に見失って、お互い「なぜこんなことに……」と思いながら1年くらい過ごしてほしいです。
 私個人が見たいのはインディカとイリヤの関係性が「運命の出会い」から「腐れ縁」に移行して、それでもずるずると一緒に行動し続ける様です。ふたりが出会ったのが神の導きでも悪魔の謀略でもないただの偶然の結果であり、互いに失望して恨みすら抱きながらなお旅の道連れを打ち捨ててゆけないとしたら、それは「運命」などという他律的な力によって支配された関係性よりよほど面白いのではないでしょうか。

 『INDIKA』をクリアした直後、私はふたりが「ただ普通に幸せになってくれたら」と願い、その直後にこの願いの傲慢さに打ちのめされました。「ただ普通に」「幸せ」になることなどできないのです。ただ生きているだけで大仕事なのに、加えて幸福になることがどんなに困難か。「ありふれた幸せ」などという言葉は世迷言です。幸福とは常に非凡なものなのです。生きることもまた常に非凡なものなのです。今まさに苦境にあるふたりに、非凡なものを「ただ普通に」手に入れれば良いじゃんと言うことの残酷さを思うと、私の感情は行き場を無くし、思考はこの世の様々な苦悩へと尾を引く火花のように散っていきました。
 それでもやはり『INDIKA』のふたりに関しては、生きてほしい、その生き様が続編になってほしいと思っています。神無き時代に生きている人間のひとりとして現代からふたりを見れば、彼女らの足跡は人類が現在進行形で辿っている模索そのものです。ゲームの発売前は扱われている遠い国、遠い時代、遠い宗教の異国情緒に惹きつけられるところが多分にありましたが、ゲームを終えた今、もうふたりを他人とは思えません。人類は目下滅びにひた走っていますが、まだ一応存続しており、インディカもイリヤも傷だらけですが、生きています。その力強さは無視できません。続編作ってください!!!!!!