ケーキャンプ

サイト作った!

2023.11.11

 2023年、ネットは混迷を極めていた――。

 というわけで「個人サイトを作りたいな」という長年のぼんやりした野望をようやく形にしました。HTMLとCSSは、学習しようとしては入り口で投げ出すことを何度か繰り返していたので、こうして公開にこぎつけられて誇らしいです。やったぜ。今現在も色々と施工中ですが、ここを自分の拠点として充実させていけたらと思います。
 今日は記念日ですね。そう、ドストエフスキーの誕生日です。ハッピーバースデー。

 悩んだのは、有料のサーバーを使うか否かということでした。非常に良心的な価格で私の目的に適うプランを提供してくれるサーバーもたくさんあるのですが、問題は金銭を払うことができるかではありません。金銭を払い"続ける"ことができるかどうかです。
 例えばロリポップサーバーは月額99円(長期契約の条件付き)で最安プランを提供しているので、価格改訂等が実施されず、口座に1万円が残っていれば100ヶ月、つまり8年と4ヶ月運用できます。20万あれば160年以上です。160年後なんて、それこそ『マッドマックス』みたいな世界になっていたり、何なら人類がきれいさっぱり滅びてしまっていてもおかしくありません。しかし十分な金を入れておいても、私が死んで口座が凍結され、遺言が満足に履行されなければ泡のように消えてしまうでしょう。

 FC2でよく見かけますが、もう何年も更新されていないサイトが広告を表示しながら、石碑のように静かに情報を提供していることがあります。運営者がこの世を去っている可能性すらあるのに。その様子を見ると、大仰に聞こえるかもしれませんが、敬虔な気持ちになります。これはもとから無料のプランを登録しているからこそなせる業です。


 私個人は立派な墓に入りたいとか、ピラミッドを建てさせて罪なき人々を巻き込んで副葬したいとかは別段思わないのですが、死んだ後ひっそりとサイトが佇んでいてくれたら良いなとは思います。ピラミッドとウェブサイトにどんな違いがあるのかはよくわかりません。実体を持って滅びゆく自分を感覚しているせいで、実体無きものに対して、実体が無いからこそ永遠であってほしいと感じるのでしょうか。

 私が抱いているイメージは、自分という個人、ドメインやサーバーを管理運営している企業、国家、インターネットというインフラ、人類全体、そして宇宙のすべてがどのタイミングで滅ぶかの長期的チキンレースをしているようなものです。私より先に宇宙が滅ぶ可能性は極めて低いですが、国家、インターネットあたりは全然ありえると感じます。こういう考えはやはりパラノイア的なのでしょうか。生きている人間の大半は死とか滅びについてあまり考えないものなのでしょうか。いずれ誰もがそこへ行くのに?

 でも、結局全ては消えるのです。文明が早春の薄氷、砂上の楼閣であるなら、その中で生きる我々は氷の表面にできる微かな模様や、砂漠のサボテンの針先に溜まった朝露のようなものです。それでも人は安息の地を求め、時には慎ましい寝床を確保して自分や、自分と近しい者たちを憩わせました。梁も柱も無いインターネット上でではありますが、私もその例に倣おうと思います。


 このサイトはひとまず、ロリポップ社からサーバーを借りて公開しました。現在数社のサーバーをお試し登録して使い心地を探っているところです。独自ドメインを取得したのですが、現時点ではうまく反映されていないようで、社から配給される無料ドメインがくっついています。難しいことばっかりです。改善できるかは未定です。
 また、ロリポップ社は禁止事項とされる成人向けコンテンツの定義が非常に曖昧なので、他社への移住も検討中です。何もかも首が据わっていない状態で申し訳ない。でもドストエフスキーの誕生日にサイトを開設したいとなんとなく思ってしまったので首がぐにゃぐにゃのまま公開します。

追記:11/15にサーバー提供元をリトルサーバー社に移し、独自ドメイン「kakiyakei.com」でサイトに到達できるようにしました。

 それにしても、サーバーを確保して外界に放流するかはさておき、自分の絵や文章が詰まったデジタルな構造物が、コードによって秩序立てられ、フォルダにまとめられているというのは、なんともいえない魅力があります。このコードと画像の集積物を、小指の先ほどの記録媒体に収めて持ち歩くことだってできる。まるで水を注げばたちまち芽吹く種、精緻な生体器官が凝縮されたミツバチのようです。初心者なりに自分の手で組み上げたからなおのこと愛しく感じるのでしょう。よしよしかわいいね~。

 というわけで、ご来訪誠にありがとうございます。ケーキャンプをよろしくお願いします。